サー・ピーター・ブレーク



 
 去る12月5日、ひとりのニュージーランド人がアマゾンにおいて、ライフル
 銃で撃たれ亡くなりました。
 おそらく、日本のどの新聞を見ても、またどの日本語検索ページを探しても
 出てこない、ほんの小さな事件として扱われたかもしれませんが、ニュージ
 ーランドでは国民のだれもが深い深い悲しみに陥った、とてもショッキング
 な出来事となりました。
 サー・ピーター・ブレーク。
 クストー財団の代表、というよりも、あのアメリカズカップをニュージーラ
 ンドに持って来てくれたニュージーランドのヒーローと呼んだ方が早いかも
 知れませんね。
 1995年にサンディエゴで開催されたアメリカズカップで、見事「チーム・
 ニュージーランド」を率いて悲願のアメリカズカップ奪回に成功。続いて
 2000年に行なわれたオークランド大会では、イタリアのシンジケート、プラ
 ダを5-0のストレートで破り、140年の同カップ歴史上、初めてアメリカ以外
 の国がアメリカズカップを防衛するという快挙を成し遂げました。
 その「チーム・ニュージーランド」の代表が、サー・ピーター・ブレークで
 した。
 皆さん、想像してみてください。アメリカの人口は2億人以上、経済規模は
 世界最大です。豊富な資金力、そしてロケットを宇宙にまで飛ばすほどの世
 界最先端の技術力も持つ超大国アメリカに対して、人口わずか約380万人の
 ニュージーランドがいかに創意工夫を凝らし、そして同氏のリーダーシップ
 のもとでアメリカズカップの勝利をものにしたか。
 1995年のアメリカズカップに出場し、勝利したからこそ、現在オークランド
 のウォーターフロントにあるViaduct Harbourがこれほどまでに開発された
 のです。2000年にオークランドがアメリカズカップの開催地となったからこ
 そ、世界中にニュージーランドのマリン業界の水準の高さがアピール出来、
 結果として、これほどまでにマリン関連の輸出が飛躍的に伸びたといえるで
 しょう。
 サー・ピーター・ブレークが自宅を担保に銀行から借金までして95年のアメ
 リカズカップへの出場料を支払ったり、危険を伴う過酷な世界最速ヨットレ
 ースで世界記録を作り、スポンサーから充分な資金を集めることが出来たか
 らこそ「チーム・ニュージーランド」は、各国のシンジケートを唸らせたあ
 のアメリカズカップ用のヨット、「ブラック・マジック」の開発が可能とな
 ったです。
 各地の外洋ヨットレースに何度も出場している同氏がレース中に感じたこと
 は、環境の変化で海の生物が年々少なくなっていたり、また沖合いでさえも
 プラスチックのポリ袋が海に浮かんでいることがとても残念だったとか…。
 2000年のアメリカズカップ防衛を果たした後は、クストー財団の代表となり、
 世界各国の環境調査活動を意欲的に行なっていました。
 そして今回の思わぬ事件。ブラジル、アマゾンの環境調査を行なっていたサ
 ー・ピーター・ブレークの船、SeamasterにWater Ratsと呼ばれる数名の海
 賊がライフル銃を持って突如侵入、自分の船と船のクルーを守るためにサー
 ・ピーター・ブレークは勇敢にもひとりで立ち向かっていった所を背後から
 銃で撃たれてしまいました。 同氏が最後に書き記した航海日誌には以下のように書かれていました。
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 Tuesday, December 4, Rio Amazonas
 We could have come here by commercial plane, stayed a few weeks
 and left. But that wouldn't have given us the essence of the Amazon.
 To travel by Seamaster means we appreciate the immensity of this
 water region and in turn have a feeling for it unlike any other.
 The quality of water and the quality of life in all its infinite
 forms are critical parts of the overall ongoing health of this
 planet of ours, not just here in the Amazon but everywhere.
 With nearly 50 per cent of the peoples of the world now living in
 towns or cities, we wanted to begin the process of bringing back
 the appreciation of nature that may be missing from many daily lives.
 We want to restart people caring for the environment as it must be
 cared for.
 And at the same time we want to do this through adventure, through
 participation, through education and through enjoyment.
 To win, you have to believe you can do it. You have to be passionate
 about it. You have to really "want" the result - even if this means
 years of work.
 The hardest part of any big project is to begin. We have begun -
 we are underway - we have a passion. We want to make a difference.
 We hope that you and as many of your friends as possible will join us.
 Kind regards
 Peter
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 ヘレン・クラーク首相は、サー・ピーター・ブレークの功績を称え、また環
 境先進国ニュージーランドとして政府がその意志を可能な限り継いでいくこ
 とをコメントしています。


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2001.12.30


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