グルメも喜ぶこんな話
ニュージーランドのバイオテクノロジー(2)



 
KIAORA MAIL Vol.38で、ニュージーランドの生物学研究グループが、“世界で
初めて、なんと地球以外の土を利用して野菜を作ってしまった"という話題を
ご紹介しましたが、今回はもっと私達の食生活に関連する身近なお話をしまし
ょう。特にグルメの方々が喜ぶ話題を1つ。

世界でも珍しい、淡い金色の「ゴールデン・オイスター」と呼ばれる新しいカ
キの養殖がこのほどニュージーランドで成功し、今年後半には商業ベースにな
り、世界に向けて輸出される計画が着実に進んでいるというニュースです。

日本と同じように四方を海で囲まれているニュージーランドでは昔からカキ
(=オイスター)も取れていましたが、日本をはじめ、アメリカ南部市場向け
にはなかなか販売が伸びていませんでした。

売れない主な理由は味よりもむしろ見た目と考えられています。日本などの市
場で良く好まれるのは、淡い色をした「Lighter Oyster」と呼ばれるカキだそ
うで、ニュージーランドで水揚げされる「Black-lipped Pacific」は、その名
前の通り、縁の色が黒く、「その見た目の悪さのため市場でもあまり好まれて
いない。よって値段も高く付かない。」というのが市場関係者の意見だそうで
す。
ニュージーランドに観光で来られる日本人の多くは、このニュージーランド産
のBlack-lipped Pacificを「おいしい!」と言ってよく食べるのですが、とて
も不思議な話ですね…。

さて、この日本市場で受け入れられ、値段も高く付くとされる、薄い色をした
カキも実はニュージーランドで取れているのです。しかしながらすべて天然
(Wild)のものであるため、数がきわめて少なく、供給量が一定していないの
で、なかなか商業ベースで流通出来ないという問題を抱えていました。

そこで数年前に乗り出したのがニュージーランドの大手水産会社、サンフォー
ド社。オークランド大学に所属する水産研究の専門家、アンドリュー・ベル博
士と共同で、いままで天然でしか取れなかった淡い金色をした「ゴールデン・
オイスター」をなんとか商業ベースに乗せてNZから輸出しよう、という新しい
バイオプロジェクトが1998年から始まりました。

サンフォード社の長年の経験から、天然のゴールデン・オイスターの子どもが
ニュージーランドのどこで最もよく取れるかをつきとめ、養殖の研究がスター
トしました。

この研究にはニュージーランドの政府機関、テクノロジー・ニュージーランド
(Technology New Zealand)が$100,000の資金援助を行い、この分野で博士号
(PhD)をもつスペシャリスト、ベル博士をプロジェクトに呼び入れることが
可能となったのです。

まず海からゴールデン・オイスターの子どもをバケツ数個取ってきます。そし
て、これらを人工的に潮の干満まで作りだせる特別な装置の中に移し、野外と
同じような環境を再現するのです。天然さながらの岩礁には自然に藻まで発生
してきました。
この装置の中で1年間発育させた後、カキをサンフォード社の養殖場に移動さ
せ、そこで更に育てるのです。
最近、最初の水揚げが行われましたが、その結果はとても満足いくものであっ
たとか。カキの見た目はもちろんのことですが、味の方も甘さが一定している
と評判のようです。
サンフォード社ではこのゴールデン・オイスターの量拡大を実現させ、今年
2001年の後半までには商業ベースになると期待されています。

ニュージーランドの上質のワインには、やはりNZゴールデン・オイスターがよ
く合うのでは?今からとても楽しみですね。


ニュージーランドでは今回のゴールデン・オイスターをはじめ、バイオテクノ
ロジーのプロジェクトが全国で進められています。これには政府も少なからず
資金バックアップをしているようです。
NZのバイオの技術で既存の製品に付加価値をつけたり、また海外で高い値段で
流通されている製品をニュージーランドで生産し、海外のグルメ市場向けに販
売してこの国の輸出を促進させるというのが目的となっています。

海外のニッチ市場を見つけだし、ニュージーランドのバイオテクロノジーを利
用して付加価値のある製品を世界市場に販売する、今後の「NZドリーム」はそ
んな方向になっていくのかもしれませんね。


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2001.02.01


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