| 世界に先駆けて始まった画期的な輸送技術 |
今から118年前の1882年、ニュージーランドは食肉を冷凍させる技術を導入す ることにより、英国など遠く離れた国々への食肉の輸送を可能にさせ、これに よって、ニュージーランドでの畜産業が成長し、この国の主要産業へと発展し ました。現在では世界100ヶ国を超える国々に食肉が輸出されています。 そして今年2000年、ニュージーランドはまた新たな技術を導入することにより、 長距離輸送の新時代を築くことになりそうです。 オークランドのリサーチ・開発会社、QPod社はニュージーランド産の新鮮な食 物を冷凍することなく世界各国の小売り店まで直送できる画期的な輸送システ ムを開発。10年におよぶ研究がやっと実を結ぶことになりました。 同社のポール・ボッシャー社長によりますと、「QPodシステム」と呼ばれるこ の開発は従来のコンテナより小さい「パレットサイズ」のミニコンテナで、内 部の温度や湿度などを自由にコントロールできる機能が内蔵されています。 この技術は冒頭でご紹介した1882年に初めてニュージーランドから食肉冷凍船 が出港して以来の画期的な技術であるとニュージーランドの業界では期待が高 まっています。 このシステムのより新鮮な肉や野菜などがいままでのように航空便だけでなく、 船でも輸送できるようになるわけですから、コストが安くなると同時に、今ま で冷凍でしか送れなかったものまで輸送できるようになるため、ニュージーラ ンドの輸出業者にとってのメリットが増えますね。 ちなみに日本までの輸送について考えますと、あまり知られていないことです が、実は空輸の場合、まだ日本までの貨物専用機(エアーカーゴ)はありませ ん。そのため現在でも日本向けの切り花や生鮮野菜などの出荷は、皆さんが普 段、観光などで利用する直行便の旅客機にスーツケースなどと一緒に運ばれ、 日本まで輸送されているのが現状です。 また皆さんもご存じの通り、国内線は小さな飛行機が利用されていますので、 ニュージーランドの南島でどんなにおいしい果物や野菜が生産されたとしても、 新鮮な状態のまま多量に日本まで出荷できにくい状態にあります。 旅行シーズンで観光客が増え、スーツケースなどを載せるスペースが増える時 期には、それだけ空輸できる量が限られてしまい、輸出機会が制限されてしま う、というトレードオフが毎年発生している現状を考えますと、今回の開発は 大変うれしいニュースであることがおわかりになると思います。 すでに大手食肉輸出業者、Affco社では試験的な出荷が行われおり、成功をお さめているようです。この技術が本格的に導入されますと、食肉1トン当たり でNZ$300から最高でNZ$2000まで輸送コストが削減できるとのこと。 昨年1年間にニュージーランドから海外に空輸された食肉はだいたい1万トン と言われています。仮にその半分を船便に切り替えるだけでも、なんと NZ$5,000,000.00のコストダウンが可能になると考えられますので、ニュージ ーランド産の食肉の国際競争力がさらに高まる要因にもなりますね。 これまで毎年莫大な開発費と時間を費やし、輸送コンテナ内の温度や湿度など をコントロール出来るシステムの研究が世界中で行われていますが、まだだれ もそのシステムを完成するに至っておりませんでした。今回のQPodシステムは まさに衝撃的なニュースと言えそうです。 QPod社は国内外、合計12名の出資者が集まり新しい輸送システムを開発しよう と設立された会社で、もともとアメリカで行われた調査結果をもとに、それを ニュージーランドへ持ち込み、ニュージーランド人の独特な創意工夫(注:こ れをニュージーランドではKiwi Ingenuityと呼びます。)によって現実のもの にしました。 食肉の場合ですと、冷凍よりも冷蔵の方が付加価値が高まり、価格の面ではプ レミアムが80%増すと言われていますので、ニュージーランドの食肉輸出業者 にとってビジネスチャンスが増えます。 このQPodシステムはミニサイズであることから、通常の40フィートのコンテナ に満たない、比較的小口の注文にも対応できるというのも大きなセールスポイ ントですね。スーパーマーケットがニュージーランド産の製品をコンビネーシ ョンで注文できる、例えば、肉、乳製品、果物、野菜などをそれぞれ少量ずつ 注文でき、その上、各店鋪まで温度調整されたミニコンテナのまま届くわけで すから、近い将来、日本のスーパーでも導入されるかもしれませんね。 そうなれば日本でも、もっとニュージーランド産の製品が店頭に並ぶようにな るので、日本のニュージーランドファンにとっても楽しみが1つ増えることに もなりそうです。 世界に先駆けて始まったこのユニークな輸送技術、海外でもパテントを取って いるとのことですから、今後いろいろな国でお目見えすることになる予感がし ます。 |
| ※KIAORA MAILニュージーランド掲載 |
| 2000.11.15 |
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