キーウイビジネス VS オージービジネス



 
ニュージーランド国内で大手のリテーラー、ウェアハウス・グループである
(Warehouse Group)が、ついにオーストラリア市場に参入します。
通称「ビッグレッド(Big Red)」と呼ばれ、まっ赤な建物がトレードマーク
になっているスーパーマーケットチェーン。
ニュージーランドに来たことがある人の中にはご存じの方も多いと思います。

このウェアハウス・グループ、このほどオーストラリアの有力ディスカウント・
オペレーター、クリンツ・クレージー・バーゲンズ社(Clint's Crazy
Bargains)などを買収し、今回のオーストラリア進出が決まったわけですが、
同グループがオーストラリア市場参入にふみ切るまでには、かなり長い時間に
およぶ調査を行ったと聞きます。

ニュージーランドとオーストラリア。様々な面で共通点が多いので、さぞビジ
ネス・スタイルも良く似ているのではないかと考えてしまいがちですが、やは
りそれぞれの国に進出するには、成功も失敗も色々あるようです。

今回は、オーストラリアに進出したニュージーランドビジネスとニュージーラ
ンドに進出するオーストラリアビジネスについてレポートします。


●ニュージーランド人にとって「オーストラリア・ブランド」とは?
ひと昔まではニュージーランドの消費者にとってオーストラリアはバーゲンの
国でもありました。「物が豊富で、自国で買うよりクオリティーが高く、その
上値段が安い」と考えられていましたので、ニュージーランドからオーストラ
リアに遊びに行くと、みんなスーツケースいっぱいに様々な生活用品をどっさ
りとお土産として持って帰ってきた時代があったようですが、最近ではその認
識を変わってきたと聞きます。

ニュージーランドと比べるとオーストラリアの方が賃料も人件費も高く、その
上最近ではニュージーランドと同じようにGST(物品税)が導入されています
ので、ニュージーランド人にとって割高感が出てきたのも確かなようです。
あるアメリカ人の方から教えていただいた話では、シドニーの物価はロスアン
ゼルスと殆ど変わらないとか。
「メイド・イン・オーストラリア」の生活用品は以前ほどニュージーランドの
消費者にとって心を揺さぶる特別なものではなくなってしまったのかもしれま
せんね。

そう言えばオーストラリアの大手デパート、デビッド・ジョーンズ(David
Jones)がニュージーランド進出を数年前から発表していますが、まだ1店鋪
もオープンしていません。何か問題があるのでしょうか???


●オーストラリアに進出したニュージーランドのリテーラー
最も成功している例として挙げられるのは、ジュエリーチェーンのマイケル・
ヒル(Michael Hill)でしょうか。オーストラリア国内ではすでに70店鋪近
くオープンさせています。続いてファッション業界ではグラッソンズ(Glassons)、
アウトドア・ヘリテージ(Outdoor Heritage)、女性下着メーカーのベンドン
(Bendon)、またレストランチェーンとしては、バレンタインズ(Valentines)
などがあります。


●キーウイビジネスとオージービジネス
オーストラリアのメーカーがニュージーランドで全く成功していないわけでは
ありませんが、オーストラリアで成功した有名ブランドがニュージーランド市
場で思わぬ苦戦を強いられている、という例はよく聞かれます。
何が原因なのでしょうか?

理由の1つとして考えられるのは、ニュージーランド企業とオーストラリア企
業の考え方の違いとか。

オーストラリアで成功したリテーラーがニュージーランド市場を考える際、ニ
ュージーランドをオーストラリアのマーケットの一部、またはその延長と考え、
市場参入を割と安易に考えてしまう(=underestimate)傾向があるため、思
わぬ失敗があると聞きます。

一方、そうした失敗例を見てきたニュージーランドのリテーラーは、自国の市
場の何倍もの大きなマーケットに進出するとあって、オーストラリア市場参入
の前にはかなり慎重にリサーチを重ねる傾向があるようです。
冒頭でご紹介したウェアハウス然り。こうした調査が良い結果として表れてい
るようですね。

また実際にオーストラリアといっても、シドニーとゴールドコーストでは天候
もそこに暮す人々のライフスタイルも全く異なっています。その差はオークラ
ンドとウエリントのそれとは全く異なっていますので、ニュージーランドの企
業にとって、オーストラリアは一括りに出来ない市場と考えるのかもしれませ
ん。


さてニュージーランドの市場ですが、日本のビジネスマンの方もよくおっしゃ
る通り、他の国と比較すると経済規模と同様、マーケットも非常に小さいと言
われています。確かにマーケットが限られているのでビジネスをする上でうま
味も少ないという考えもあると思いますが「小さい=簡単」と考えると思わぬ
落とし穴にはまることにもなりますので、注意が必要です。
もし日本からニュージーランドへビジネス参入をお考えの方は、現地の市場調
査を是非お薦めします。


ニュージーランドで成功しているオーストラリアブランド、ケイティーズ
(Katies)とスーパーマーケット、ケイマート(Kmart)のオーナー、コールズ・
マイヤー氏のコメントを最後にご紹介しておきます。

"If you're doing well in New Zealand, you're normally doing very well
indeed."
「(マーケットが小さい不利なビジネス環境の)ニュージーランドで成功して
いるなら、他の市場ではものすごく成功するだろう。」


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2000.10.01


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