| シドニーオリンピックと労働事情 |
ニュージーランドのおとなりの国、オーストラリアでは国全体の失業率が、過 去10年間で最低の6.6%まで下がりました。もうすぐオリンピックが開催され るシドニーのあるニューサウス・ウエールズ州の失業率は5.8%。10代の失業率 はオリンピック需要で急速に改善されていると報じられていますが、それでも 20%台となっています。 今回はニュージーランドの労働事情のお話。 実は今回のシドニーオリンピックのため、多くのニュージーランド人がタスマ ン海を渡り、シドニーで働いています。 ご存じの方も多いと思いますが、ニュージーランドとオーストラリアは古く から政治、経済をはじめとして様々な面で特別な合意をしているため、両国に とってはあまり「外国」という意識はなく、今でこそお互いの国を訪問する際 にはパスポートが必要になりましたが、ほんの十数年前までは、パスポート無 しでも自由にお互いの国を行き来していた時代が続いていました。 現在でもニュージーランド人はビザなど関係なく、オーストラリアで仕事をし たり移住することができるようになっています。 さて4年に一度行われるオリンピック。久しぶりに南半球で行われます。 9月に開催を控えたシドニーオリンピック実行委員会はその成功にむけて、労 働力をオーストラリア国内だけでなく、ニュージーランドからも求めており、 オークランドでは民間のリクルート会社や国の斡旋機関を通して、シドニーオ リンピック関係の「パートタイム希望者」を募っています。 WINZ(Work and Income New Zealandの略。日本のハローワークのNZ版です。) にはシドニーオリンピックの開催前後を含む合計6週間の期間限定の仕事が集 まっており、職種はレストランなどサービス業や競技場などでの清掃業務など 様々。 ニュージーランドの労働事情を見ると、Far Northと呼ばれる最北エリアでの 失業率が9%と全国で最も高くなっているため、WINZではこの地域からの人材 を優先させるようです。 なお時給はオーストラリアのレートでAUST$15〜AUST$20となっています。 (ニュージーランドドルに換算すると、時給NZ$18〜NZ$24。) ニュージーランドの国が定める国内の最低時給額は現在、NZ$7程度。 また、ニュージーランド全体の労働者を合わせた場合の時給平均はNZ$18ぐら いですから、短期間とはいえ、今回のオファーはなかなか結構な時給と言えま すね。 ニュージーランドに募集が来ているのはレストランなどサービス業が多く、オ ークランドのシェフなどは「貴重な経験のため」、とすでに350人以上がシド ニーに移っていると報じられています。しかし一部には、シドニーオリンピッ クも他のオリンピックなどのイベント同様、開催にむけて新しいホテルやレス トランが数多くオープンし、短期的には人材が不足するくらい盛り上がるもの の、やはり閉会式とともにその後は急速に経済も落ち着くのでは、との声も聞 かれます。 私の知っている限りでは、世界中からオリンピックを観戦するため観光客が押 し寄せてくるため、早くもホテルやレストラン、その他全ての価格が「オリン ピックプライス」に上昇しているとか。シドニーはニュージーランド人にとっ て、時給も高いが、生活費も高いため、「オリンピックというパーティーをエ ンジョイするもの」と割り切った方が良いのかもしれませんが、どうでしょう? ニュージーランドの人口調査では、現在オーストラリアには400,000人を超え るニュージーランド国籍の人が移住していると言われています。ニュージーラ ンドの総人口が380万人としますと、その1割以上の人がおとなりの国に住んで いる計算ですね。もちろんこれらの人々はオーストラリアも国内と同じ感覚で 自国との間を行き来して暮しているようです。 また別の調査では昨年1年間にニュージーランドからオーストラリアに移住の 目的で「引っ越した」人数が過去最高で、35,495人になったと発表されていま す。同時にオーストラリアからニュージーランドに移って来た人もいるでしょ うし、たとえ移住の目的で行ったとしても、また舞い戻ってくる人もいるとは 思いますが、この35,495人という数字は皆さんにとってもかなり意味がありま す。 というのは、ニュージーランドが移民政策として1年間に外国人に永住権を与 え、移民として受け入れる枠がやはり、35,000人なのです。 政府としてはニュージーランドからオーストラリアに移住する数をコントロー ルすることが、現在の法律では不可能とし(Free Travel Agreementという法 律)、「毎年ニュージーランドからオーストラリアにこれだけの数が移ってい くとしたら、ニュージーランドの人口が減少してしまう。」と懸念しており、 現在の移民法の見直しも考えているようです。 今後、ニュージーランドからオーストラリアに移住する数によっては今後の 永住権の枠が大きくなることもあると考えられますね。 |
| ※KIAORA MAILニュージーランド掲載 |
| 2000.09.01 |
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