携帯電話普及がもたらす不安



 
オークランドで不動産会社に勤務するインシュワ・チャンドラ氏(実名)、
携帯電話は毎日の仕事に欠かせない大切なツールになりました。
利用し始めてから、はや2年半過ぎたある日のこと…、急に携帯電話を使うと
痛みを感じるようになりました。

「携帯電話が鳴って、話を始めると何かしだいに耳が熱くなり、それから耳と
目が痛くなるんです。時々、頭が重くなることもありました。」
最初は別に気にしないでいたようですが、そのうち痛みがはげしくなって、最
後には我慢が出来なくなるほど痛みがひどくなったため、それ以来、チャンド
ラさんは携帯電話を使えなくなってしまいました。


さて日本でも携帯電話の販売が好調に伸び、利用者の数が増えているようです
が、7月の初めにWHO(世界保健機関、本部ジュネーブ/スイス)から発表され
た携帯電話に関する報告は日本の皆さんもご存じでしょうか?
今回は7月8日にオークランドのニュージーランド・ヘラルド紙に掲載された携
帯電話に関するレポートです。

         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゜ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ニュージーランドでの携帯電話の普及は日本よりもずっと以前から始まってお
り、個人でビジネスをする人たちのニーズにマッチして、年々伸びて来ました。
あらかじめ通話料が含まれた「プリペイド電話」がディスカウントストアで気
軽に購入出来、現在ニュージーランド全体での携帯電話普及率は37%とか。
アメリカが31%ですから、それ以上に普及しているといえます。

ちなみに世界で最も普及しているのは、NOKIAの生産国、フィンランドで、全
体で66%。10代にいたってはその勢いがおさまらず100%以上だとか。
ひとり1個ではなく、2個、3個と所有しているティーンエイジャーも珍しくな
いようで、まさに世界の携帯電話最先端国と言えますが、前述のWHOの報告は
ニュージーランドをはじめ、全世界に衝撃を与えました。
(もちろん日本にも伝わっていますよね…?。)

『携帯電話の利用はその電磁波が身体に悪影響をおよぼす可能性が高く、利用
者は通話を極力短くするように心がけ、特に未成年者の使用は最低限に控える
べきである。』

オーストラリアもニュージーランドと同様、携帯電話の普及は3人に1人以上と
高く、オーストラリアの電話会社、Telstra社では以前から携帯電話が身体に
与える影響を調べるため、オーストラリアとニュージーランドの両国で携帯電
話利用者40名に対して健康状態に関する調査してきました。
その専門医師、ドクター・ブルース・ホッキングによると、冒頭にご紹介した
オークランドの不動産業者、チャンドラ氏が感じた痛みなどは、携帯電話の過
度の利用による初期症状であるとしています。
ホッキング医師は「人間が携帯電話を利用し始めてから、まだそれほど年月が
経っていないので、これから20年後の我々の体にどれだけの影響が出るかまだ
判らない」としながらも、「携帯電話本体、携帯電話の送電線のいずれにして
も、身体に与える影響はかなり深刻なものになるかもしれない。」と発表して
います。

電磁波の発生源として知られているものには、送電線、テレビ、電子レンジ、
そして皆さんもよくお使いのコンピューターなどがあります。こうした電磁波
に身体が長時間さらされると、我々の体に影響を起こすということは世界的に
も知られています。


健康志向が強いニュージーランド。1997年には西オークランドの小学校の運動
場の近くに電話会社の送電塔を建設する計画が持ち上がりましたが、子供達へ
の影響を心配した父兄、先生たちが電話会社Telecom社に強く申し入れ、結局、
送電塔の建設は断念されたことがあります。

しかし携帯電話の電磁波は我々が通話の際に耳に当てるため、その時に脳に吸
収される電磁波は、送電線が普段、我々の身体に与える強さのなんと1,000倍
から1,000,000倍にも達することが明確になりましたから、ニュージーランド
でもかなりの衝撃がありました。

スウェーデンの学会では、209人の脳腫瘍患者を調べたところ、携帯電話の利
用者の脳腫瘍発生率は、携帯電話を使わない人の発生率の2.5倍だった、とい
う結果が発表されています。
また英国では国の専門家たちのレポートで「子どもが携帯電話を利用すること
は望ましいことではない。通信業界は未成年者の携帯電話利用をやめさせるよ
う業界全体で消費者に理解させていくべき」という発表を出しています。


ニュージーランドでも今回のWHOの報告を受けて、NZ$420,000(約2100万円)
の費用をかけて、ウエリントンで今後3年間、脳腫瘍の患者200名から300名か
ら話を聞き、携帯電話の利用頻度などについていろいろな質問を行ってその相
関関係を調査することがすでに決定しました。これは世界13ヶ国で合計6000名
を対象に行われる携帯電話と脳腫瘍の関係についてのレポートの資料となるよ
うです。


こうした中、日本の対応はどうなっていくのでしょうか?
現在の不況から脱出し、景気回復の策として掲げているIT業界の拡大、その中
で現在、話題となっている携帯電話の販売の伸び、企業間の市場競争をうなが
す設備投資の増加などをただ手放しで喜んでいるだけでは、国内の携帯電話の
開発は進んでも、携帯電話に対する日本人のユーザー意識は、世界から更に遅
れてしまうかもしれません。

最終的にはたばこなどと同様、「個人の判断に委ねられる」ことになると思い
ますが、そのうち嫌煙席、喫煙席と同じように、『携帯電話所有者の席』と
『持っていない人の席』がレストランなどでも区別される日が来るかもしれま
せんね。


さて最後に携帯電話の利用による初期障害の症状、そして障害を避けるための
方法についてまとめた記事がありましたので、簡単にまとめておきます。

☆携帯電話の過度の利用による障害(初期症状)
・頭痛
・めまいがする
・疲労感がある
・集中力がなくなる
・忘れっぽくなる

☆障害をさけるための方法
・出来るだけコード式の電話やコードレスの電話を利用するようにする。
・耳にくっつけて話す小さなタイプでなく、耳から離しても聞こえるタイプに
 する。
・通話時間は極力短くする。
・車や電車の中など金属の壁に囲まれた場所は携帯電話の電磁波がさらに強く
 なるため利用は避ける。
・できるだけ室内でなく屋外で利用する。
・携帯電話のアンテナが伸縮するタイプは必ずアンテナを伸ばして、電磁波が
 できるだけ脳から離れる状態にしてから話し始める。
・高圧線の近くはやはり電磁波が強くなるので、利用を避ける。

出所:ザ・ニュージーランドヘラルド(2000年7月8日)


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2000.08.15


キオラ・ニュージーランド キオラメール バックナンバー記事 お問い合わせ
   
ITZ Corporation Limited お問い合わせ