水産業界で今、話題になっていること



 
ニュージーランドは日本と同じように四方を海に囲まれた島国で、水産業もこ
の国の経済に貢献している大切な産業の1つとなっています。

ちなみにホキ(Hoki)という名前の白身のお魚はニュージーランドでも良く釣
れる種類となっているようで、日本でも皆さんが知らないうちに口にしている
魚なんですよ。日本国内で販売されているいろいろな会社の冷凍食品の白身魚
フライ、実はこの原料としてニュージーランドのホキが良く使われています。

ニュージーランド国内では、肉の消費量が魚のそれを大きく上回り、国内の魚
の市場はそれほど大きくありません。また日本などから比べると、漁業を営む
経済水域そのものは広いわりに、ニュージーランドの漁業生産量は小さく、世
界レベルで見ると、全体のわずか1%にも満たない程度の小さな規模となって
います。(注:日本の漁業生産量は世界全体の20%以上!)

原因として知られているのは、ニュージーランドの周りの海は水深が深く、魚
のエサも豊富ではない環境だとか。実際にニュージーランドの経済水域は、世
界でも4番目に広い水域です。しかしあいにく、その70%ぐらいは水深が1000
メートル以上の深海だそうです。残念ですね。
不利な環境で、なおかつ自国の消費が小さいため、商業ベースになる魚を求め
て漁に出て、釣った魚の多くを海外の市場に輸出している、それがニュージー
ランドの水産業界の姿のようですが、今この業界で話題になっており、新聞な
どにも報じられていることが1つあります。

これは南極トゥース・フィッシュ(Antarctic Toothfish)という名前の魚の
漁獲量をニュージーランドとして更に何倍にも引き上げよう、とする動きで、
ニュージーランドの民間の水産会社が政府にその許可を迫っているというお話。
もし許可が出てこの魚を今の何倍も出荷できるようになれば、ニュージーラン
ドの水産業が更に発展すると考えられています。

このトゥース・フィッシュというのは、南極のロス海で生息していて、体長は
平均で1.2m、重さ160kgと大型の魚で、脂が良くのった高級魚として知られて
います。切り身の状態でもキロ当たりでNZ$42(約2100円)からNZ$50
(約2500円)で取引されていますが、水揚げ出来るのは、1年のうちでも南極
が夏を迎えてロス海の氷が解ける1月から3月までのたった3ヶ月しかありませ
ん。それでも現在の世界の市場規模は年間NZ$6000万(約30億円)と推定され
ていますから、ニュージーランドの水産会社にとっては願ってもない魅力的な
市場と言えますよね。

政府に許可を迫っているのはニュージーランドの水産会社のサンフォード社。
同社はもう1社と共同で船を所有し、昨年、南極トゥース・フィッシュを300
トン水揚げしています。同社は過去4年間に独自の実態調査を実施し、その結
果から判断しても、南極トゥース・フィッシュの漁獲量を今の4倍から5倍に
引き上げても、生態に悪影響を与えるとは考えにくいとしており、ニュージー
ランド政府からの了承を1日でも早く獲得したい意向です。


一方ニュージーランド政府側としては、国が他国メンバーと共に組織してい
る南極近海で生息する魚介類の保護委員会「Commission for the Conservation
of Antarctic Marine Living Resources」に所属しているため、『許可を出す
前にもう一度、調査をしてから…』と他国との調整が必要との姿勢を見せてい
ます。

サンフォード社は「ニュージーランドが許可を出さないでもたもたしている
と、必ず他の国にこのビジネスチャンスを持っていかれてしまう。」とすでに
氷をかき分けて進む特殊な漁船を単独で購入してしまったとか。「もし自分の
国から、許可が出ない場合には、許可をもらえる国のために他の国旗をつけて
操業することも考えている」としています。

さて結果はどうなるのでしょうか?ニュージーランド政府からの決定はまだ
出ていませんが、ニュージーランドの水産業の動きがおもしろくなってきた話
題と考えます。


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2000.08.01


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