インフレ懸念が高まるニュージーランド



 
ニュージーランドは国が小さいこともあり、貿易への依存度が高く、特に輸出
に対しては積極的な姿勢を示していますが、国際環境の著しい変化の中で、い
かに上手に経済を安定させていくか、その景気対策がきわめて重要な国として
注目されています。

輸出の伸びを実現できるように、国際競争力を強めながら、かつ国内の物価上
昇を抑えるインフレ対策を基本に、巧みに、そしてタイミングよく金融政策や
為替政策を実施して、景気を加速させることなく、また失速させることのない
よう、程よく舵取りして行くことが望まれています。

物価安定はニュージーランド準備銀行(=Reseave Bank of New Zealand)が政
府からその責任を分担され、インフレ率を0〜3%以内に維持することが、準備
銀行の総裁に与えられた任務の1つとなっており、「インフレ率がそれ以上に
なったら、即クビ」という厳しい協定が1996年12月に結ばれています。日本と
はかなり異なっていますね。

さてこのような協定のもと、ここ数年、ニュージーランドの物価は安定し、イ
ンフレ率は96年の2.6%から97年は平均で1.6%、98年は1.1%、99年も1%台をキ
ープしていましたが、このほどニュージーランド経済調査委員会が発表した、
中・長期経済予測では、「今年2000年の年末までには、インフレ率が3%を超
える可能性が強い」としています。

同委員会が今月(3月)にまとめたレポートによりますと、国内消費と輸出の
伸びが顕著のため、2000年の経済成長率は4.3%、来年も4%台を維持しそ
うとのこと。

一方で石油価格の上昇がいちじるしく、経済の成長に影響して、2000年の終わ
りまでにはインフレ率が3.3%になると予想しています。ニュージーランド・ド
ルの為替が弱く、過去1年上昇が続いている世界の石油価格をニュージーラン
ド・ドルに直すと、1年前の約2倍になってしまいますが、今のところまだ消費
者物価にはその影響が出ていません。

しかしニュージーランド経済調査委員会では、今後の物価上昇の可能性として
以下の理由を挙げています。

・卸売物価は過去3期連続で上昇している。特に第3四半期(12月)がめざまし
 く同期だけでも1%の上昇が記録されている。

・3ヶ月ごとに行われるニュージーランド全国企業調査において、多数の企業
 が原材料など仕入れコストの上昇を指摘しており、自社の価格の上昇を予定
 しているとコメント。

・失業率の低下により、人手不足が表面化しており、賃金の上昇が懸念され
 ている。

しかしながら、ニュージーランドでは規制緩和が進んでいるため、市場はどこ
も競争が激しくなっており、価格の上昇は逆にビジネスそのものを縮小させて
しまうことにもなりかねない、と企業側はすぐに価格を引き上げられないのが
現状のようです、


ちなみに電力、石油、通信の分野では特に競争が激化しています。輸入規制も
ほとんどなくなり、平行輸入の制限も撤廃されているため、外国企業の算入が
活発なのがこの分野の特長となっています。

インフレ懸念が強くなれば、ニュージーランド準備銀行では、さらに金利を上
昇させるでしょう。今年終わりまでに、90日Bank Bill金利は7.3%まで上昇す
るとの見方が強くなっています。

過去6ヶ月間の農業と製造業の伸びも見られます。酪農はシーズンを迎え、牛
肉と羊肉の生産量は増加しました。農業は3年ぶりにニュージーランドのGDPの
伸びに大きに貢献した年となりました。製造業は特に昨年後半から好調の波が
続いています。

今年は雇用者保険法の改正になることから企業の負担がより大きくなると言わ
れています。


インフレ率3%のハードルが目の前に迫ってくる好調のニュージーランド経済
をどう舵取りしていくか、今後の金融政策、為替政策が注目されます。



  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2000.04.15


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