| アメリカズカップとオークランド(その2) |
昨年10月下旬よりオークランドで約5ヶ月にわたって行われた世界最高峰のヨ ットレース、アメリカズカップは、チーム・ニュージーランドが見事、初防衛 し、幕を閉じました。次回の開催は2002年から2003年の夏。 チーム・ニュージーランドは、連続防衛を目指し、すでに始動しています。 今回はオークランドの現地レポートです。 昨年12月に発表された四半期ごとの経済成長率の調査では、ニュージーランド 14地区のうち、8ケ所で経済不振という結果が出てしまいましたが、その一方 で、オークランドなど、きわめて景気が上向きのところもあり、ニュージーラ ンド全体で見ると地域の経済格差がさらに進んでいます。 オークランドでは、ちなみに同調査結果が6期連続のプラス、この影響でニュ ージーランド全体の経済成長率も4.1%となっています。 今回のアメリカズカップ防衛はオークランド経済にさらに追い風をもたらすこ とになりそうで、オークランド・ダウンタウン地区をはじめとするウォーター フロントの不動産投資とオークランドの観光業界は先行きが明るいと言われて います。また人々の心理的な側面にも好影響を与えることで、消費がさらに伸 びるとも考えられます。 しかし、それ以上に注目すべきなのは、やはり今後のマリン業界。 以前このコーナーでも「オークランドはヨットデザイン、テクノロジーのシリ コンバレー」とご紹介しましたが、今回のアメリカカップの防衛はまさにそれ を世界中の専門家に認知させることになりました。 ニュージーランドのボート関連業界の市場規模は現在、NZ$5億(=260億円) と言われておりますが、今回のアメリカズカップ開催期間中だけでも、NZ$8000 万(=約42億円)の売上を達成したと推定されており、そのうちのNZ$5000万 (=26億円)はアメリカズカップ観戦のために当地を訪れた100隻以上のスー パーヨットの修理や改装などによるものと言われています。ボート関連業界は 現在輸出が年間に23%も伸びているニュージーランドの成長業界の1つですが、 さらに今後の伸びが期待できると考えられます。 オークランドの港湾局、Ports of Aucklandでは、アメリカズカップの影響で ウエストヘブン・マリーナの需要が上昇したと発表しています。 今回のアメリカプカップ観戦のために海外からオークランドを訪れた30m以上 のスーパーヨットの数は約150。次回のアメリカズカップではさらにその数を 上回る約250隻のスーパーヨットがオークランドにやってくるだろうと予想し ています。 アメリカズカップの防衛はこのように数字に表れる確実な経済効果をもたらし てくれていますが、一方で経済的な問題も発生しています。 その1つが人材不足。オークランドではすでに専門のスキルを持った人材以外 にも、全般的な人手不足が深刻化しており、企業の人件費のアップが起こって おります。 また今後のインフレを懸念し、ニュージーランド中央銀行は金利を0.5%引き上 げることを発表しました。 ニュージーランドの経済成長率は今年後半まで4%程度のペースで続き、現在、 ニュージーランド全体の失業率は5.5%程度となっています。 人口も少なく、歴史も浅く、経済規模も小さい。そんなニュージーランドです が、反対に国が小さいだけに、1つのイベントが国全体にもたらす相乗効果は 大きいと考えます。 数年前、ニュージーランドの行政改革を視察するために日本から多くの政治家 や経済人がニュージーランドを訪れた時期がありましたが、彼らは視察後、口 々にこう言いました。「人口をはじめとして、規模が違い過ぎる。小さな船は 舵を切ればすぐに方向転換できるけど、大きな船は舵を切ってもしばらく惰性 で進んでしまう。おのずと舵の取り方が違っている。」…と。 大切なのは舵をしっかり切ることで、船の大小を比べることではないはず。 また船が大きいのがわかっているのなら、座礁しないように舵取りはよけい俊 敏に行わなければいけないと思うのですが…。 |
| ※KIAORA MAILニュージーランド掲載 |
| 2000.04.01 |
|