ニュージーランドのワイン業界アップデート



 
以前このコーナーで「今後の成長が期待される業種」としてニュージーランド
のワイン業界を紹介しましたが、今回はその後のワイン業界をレポートします。


●記録的な伸びを続けるワイン業界

1998年度(〜1999年6月)のニュージーランドワイン業界を振り返っ
てみますと、ブドウの収穫高は過去最高の79700トン、ワインメーカーの
数はまたまた増加して、334社になりました。
ニュージーランドワインの輸出は今や、絶好調。ソービニヨン・ブラン種やシ
ャドネー種、そしてフランス・ボルドー地方から取り寄せて作られたニュージ
ーランドの高級赤ワイン、カバネット・ソービニヨンの生産量アップのために、
現在、世界中の投資家たちが注目しています。

1998年度の輸出は価格ベースでNZ$125,000,000。ワイン協会の調べでは、
現在、国内消費と海外輸出との割合は「6対3」で、国内の方がまだ主流にな
っていますが、今後、更に輸出の比重を高めていくことで、2003年までに
輸出額をNZ$275,000,000レベルまで引き上げることが可能だと予想していま
す。
ちなみに昨年度は、対前年の生産量を26%と飛躍的にさせたにもかかわらず、
それ以上に世界市場の需要が供給を上回り、結局、市場での品不足という深刻
な問題が表面化した年でもありました。

そして「輸出、絶好調」のニュージーランドワイン業界ですが、こうした予想
以上の輸出の伸びに対して、業界内では新たな不安要素も生じてきています。


●優れたマーケティング手法が必要になってきたニュージーランドワイン

今までコツコツとマイペースで良質のワイン作りに専念していたサプライヤー
(供給者)であったニュージーランドワインメーカーは、海外市場で、今後ど
のように長期的に「ニュージーランドワイン」というプレミアムブランドをマ
ーケティングしていくか、本格的なマーケティング手法を考える段階にきてい
ます。

需要の伸びに便乗して一獲千金をもくろむにわかワインメーカーや事業家たち、
また大量生産、大量消費によって、より多くのリターンを望む投資家などが徐
々に現れてきているのも確かです。
またこうした状況のため、うわさがうわさを呼び、「オーストラリアの大手国
営企業がニュージーランド市場への足がかりとして、◯×ワイナリーの買収を
狙っている。」、また「これまでにはないケタはずれな規模で、日本企業がニ
ュージーランドワイン業界への投資を考えている。」というのも、やはりうわ
さとしてのぼっています。

業界全体としては、確かにワインの生産量アップを可能にしてくれる国内外の
投資家の出現や、新規ワイナリーの誕生は誠に喜ばしいことなのですが、それ
と同時に、やっと海外市場で確立してきた「ニュージーランド」というプレミ
アムワインのブランドを今後もじっくりと育てていきたい、という複雑な思い
があるようです。

特にニュージーランドの過去の例では、今回のワイン業界と同じように、急激
に世界市場の需要が大きくなり、結局マーケティングに失敗してしまった「キ
ーウイフルーツの苦い思い出」があるため、よくワイン業界との比較として挙
げられ、その失敗を二度とくり返したくないという思いもあるようです。


●ニュージーランドワインメーカーのビッグ4はこう考えている

ニュージーランドワインメーカーのビッグ、Montana社、Corbans社、 Villa
Maria社、 Nobilo社がもちろん現在好調なニュージーランドワインの輸出をひ
っぱっており、各社とも今後更に輸出に対して積極的な姿勢を示しています。

4社の販売比率の平均は、現在のところ35%が海外向け、残りの65%が国
内市場向けとなっていますが、今後5年以内にはその比率が逆転するようです。
そして海外で長期的に自社ブランドのポジショニングを強化させていくために
は、もちろん、持続的に品質の高い製品を納得のいくプライスで供給すること
が大切ですが、それを「理解してもらえる市場」にターゲットを当て、積極的
に輸出していこうという動きが、今後ますます強くなりそうです。

東オークランドに位置するCorbans社によります、現在、アメリカ市場ではニ
ュージーランドワインの評価が急激に高まっており、同社の販売量も年間10
%以上の伸びを見せているようですが、「本当に(アメリカ)市場でニュージ
ーランドワインの良さが理解されるまでには、あと10年はかかるだろう。」
とのコメントでした。

日本でも赤ワインの消費が飛躍的に伸びていることに対して、ニュージーラン
ドワインメーカーも関心をよせているようですが、日本市場で実際に売れてい
る輸入ワインはいずれもイタリア、チリなどからの格安ワインのみ。
「日本人にワインの教育するのはニュージーランドの役目ではない」「日本の
ワイン市場が成長するまでには、アメリカ以上に時間がかかるだろう。」とい
うのがニュージーランドワイン業界の大方の考えのようです。
日本でニュージーランドワインがもっと手軽に飲めるようになるのは、まだま
だ先のようです。

日本のワイン人気もただの一過性のものではなく、赤ワインのようにワイン市
場そのものもじっくり時間をかけて成長していくと良いですね。


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  1999.11.01


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