| 今後、最も面白くなりそうな業界(1)ニュージーランドのバイオテクノロジー |
●ニュージーランドとバイオテクノロジー "We have no money so now we must think." これは原子エネルギーのなぞを解明したニュージーランド人、Rutherford卿 の残した言葉です。 バイオテクノロジーは昔からニュージーランド人の活躍が目立つ分野でした。 また、今後もニュージーランドが世界をリードするけん引車の役割を果たす可 能性が大として、期待されている分野でもあります。 今回はニュージーランドのバイオ業界についてレポートしましょう。 ニュージーランド・バイオテクノロジー協会の報告によりますと、ニュージー ランドのバイオ市場は2010年にNZ$100億(約6700億円)に達すると予測さ れています。ちなみに日本の現在のバイオ市場が約1兆円、ニュージーランド ・ドルに換算しますと約NZ$150億です。人口が日本の30分の1にも満たない 小さな国、小さい市場であることを考えると、ニュージーランドのバイオ分野 がいかに大きいかがお分かりになると思います。 しかし、世界のバイオテクノロジー市場でのシェアを拡大することができれば ニュージーランドがいままでとは違った「Knowledge-based economy」 (知的経済国)に変身することになります。これまでの農産物生産国(Comm odity Producer)から、世界のバイオパーク(World's Biopark)へ新たに 生まれ変わるのです。そしてこれが21世紀にむけて、政府が打ち出している ニュージーランドの進むべき方向であると言われています。 ニュージーランドのバイオ業界が今よりもっと1つにまとまり、世界のバイオ 製薬会社や医療関係、そして今、急速に発展している健康機能食品業界などへ 「ニュージーランド」というデスティネーションそのものを積極的にアピール するようにすれば、市場拡大の可能性はさらに広がると思います。 ニュージーランドは地理的にも他の国から離れていますので、狂牛病をはじめ とする動物の伝染病の被害を受けずに済む安全な環境です。そのメリットに気 がついた世界の大手企業数社は、すでに自社の研究開発をひそかにニュージー ランドで行っているのも事実です。 しかしニュージーランド国内で活躍するバイオ企業は自身はまだそうした自分 達の「売り」を海外にアピールする作業を充分に行っているとはいえません。 今後はそれ海外に向けてプロデュースする人材なり機関の役割がもっと重要に なってくるでしょう。 歴史を振り返ってみますと、ニュージーランドのバイオテクノロジー分野の活 躍には目を見張るものがあります。あまり知られていないことですが、現代が 分子生物学の基礎を確立するのになくてはならない活躍をした人物、あのモー リス・ウィルキンズ氏もニュージーランドの出身です。ウィルキンズ氏は現在 83歳ですが、DNAの構造を世界で最初に発見した3人のうちの1人として、 1962年に生理学と医薬品の分野でノーベル賞を受賞しています。 もっと最近では世界で最初に遺伝子工学を用いて、羊毛の生産量をアップさせ た国もやはりニュージーランドなのです。家畜用のワクチンを発明したり、ハ シカにかかった羊の治療技術を開発したりと、世界をリードする技術がこの国 から誕生しています。またこの応用技術で羊の人口流産を抑制したり、シカの 結核を減少させることにも成功しています。こうした技術力によってニュージ ーランドは羊のこどもの数を減少させないようにしており、これが羊毛産業界 を支えているのです。 ところでニュージーランドにはバイオテンズ(Biotenz)と呼ばれる輸出促進 を行う団体があります。現在、32の企業と12の関連団体が所属していますが、 民間企業として主なメンバーには、グリーン・マッセルの人口養殖の技術を確 立したマクファーレン・ラボラトリーズ社、たんぱく質やファイン・ケミカル を抽出して化粧品業界へ供給しているニュージーランド・バイオロジカルズ社、 そして高品質の血液や乳製品をバイオ業界をはじめとする医学の分野に提供し ているサウスパシフィック・セラ社などが挙げられます。 こうしたすぐれた技術を持つ企業や研究機関がまるでダイヤモンドの原石のよ うに存在しているのが、ニュージーランドのバイオ業界の現状ですが、今後の 発展を大きく左右するポイントは、ベンチャーキャピタルでしょう。 つまり確かに無数の良いアイディアはあっても、それを実際にビジネスとして 実現するためには、やはり資金が必要というわけですが、残念ながらこのベン チャーキャピタルが不足しているのがニュージーランドの弱みと言えます。 たとえばアジアを代表するバイオ先進国、ホンコンやシンガポールではインフ ラの整備を国がバックアップして行っており、国が自らハイテク機械を購入し、 それを国内の民間企業が自由に利用できる恵まれた環境がありますが、ニュー ジーランドにはこうしたシステムがありません。 昔も今も、"We have no money so now we must think."なのでしょうか。 ただし見方を変えてみると、そこに投資機会が生まれているのです。 つまり海外の投資家が優れたアイディアを持つバイオ関連のベンチャー企業や プロジェクトに投資して、見事ビジネスとして確立した際に、リターンを得る わけです。実際にそうした投資アイディアもいろいろ存在していますので、興 味のある方には詳しい情報をお知らせします。 |
| ※KIAORA MAILニュージーランド掲載 |
| 1999.09.04 |
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