オークランドのリサイクル事情(ノースショア編)1



 
日本のガイドブックには、よく「オークランドはニュージーランド最大の都市
で、人口は約115万人…」と書いてありますが、これは厳密に言うとまちがい
で、人口約115万人というのは、オークランド市をはじめとするその周辺7つ
の地区の合計、つまり「オークランド地域(リージョン)全体」の数のことで
す。なお内訳は97年末時点で以下のようになっています。

地区名         人口(単位:人)
オークランド市          372,600
マヌカウ市            271,100
ノースショア市          182,300
ワイタケレ市           164,200
ロドニー地区            70,400
フランクリン地区          50,200
パパクラ地区            41,200
──────────────────────
オークランド・リージョン    1,152,000


オークランド市街からハーバーブリッジを渡ると、そこはもうオークランド市
ではなく、ノースショア市になります。その名前の通り、ここはきれいな海岸
がいくつもあり、オークランド市街地とくらべると、とてものんびりしたとこ
ろですが、同時にノースショア市は、ニュージーランドの中でもとりわけリサ
イクル運動の先端を行っているとも言われています。

今回はこのノースショアのリサイクルの実体についてレポートします。


●WHYリサイクル?

「なぜリサイクルをするのか?」ノースショア市役所が作成した簡単なパンフ
レットに、まずこの問いがあります。「なぜリサイクルをするのか?」ー答え
は3つありました。

(1)ゴミ処理地(埋め立て式)のスペースには限りがあります。そこを有効
   に使うためにもリサイクルをしましょう。モダンな最新技術を取り入れ
   たゴミ処理場を建てることになれば、とてもコストがかかり、それは結
   果として納税者(つまり住民)の税負担が大きくなることにつながりま
   す。

(2)廃棄物の処理にかかるコストを軽減しましょう。

(3)資源の中には再生できないものもあります。再生できるものはすすんで
   再生しましょう。


いかがですか?「なぜリサイクルをするのか?」こう質問されると、日本人は
とかく「環境資源を大切にする」とか「地球にやさしく」といった、漠然とし
た答えになってしまいがちですが、もっと身近な問題として考えると、答えは
ごく現実的なものになりますよね。
ちなみに今回お話する内容は、ノースショア市役所から出ているパンフレット
からの抜粋ですが、ノースショア市の小中学校の授業にもそのままテキストと
して使用されているとのこと。

「なぜリサイクル?」ーその答えは子どもにとっても、大人にとっても非常に
簡単でわかりやすく、そして何よりも現実的で説得力のある理由でした。

さてこのノースショア市は冒頭でもお話しましたが、ニュージーランドで最初
に、町ぐるみでリサイクル運動を始めたことでも有名です。またリサイクルが
できない「一般のゴミ」を家庭から出す場合には、ゴミ袋1個につき、1ドル
徴収されるシステムになっています。つまり、ゴミを沢山出す家庭は、その分
だけ「ゴミ回収料」とも考えられるコストを支払う仕組みになっているわけで
す。

ノースショア市役所によりますと、年間400万ドル(約2億5000万円)
を同地区の廃棄物の処理やリサイクル活動の運営にあてているとのこと。
また、この財源は同市に住む地域住民が納める地方税(レーツと呼ばれていま
す)と、先に挙げたゴミ袋回収のために住民から徴収する料金の二本立てにな
っています。ですから、万一、新たなゴミ処理場を建設したり、廃棄物処理の
ためのコストがアップすると、それがそのまま住民が支払う地方税のアップに
直結しているわけです。


●リサイクルは皆んなの役目

ノースショア市で現在のリサイクル・プログラムが始まったのは今から8年前。
当時とくらべるとゴミ処理地に送られてくる廃棄物の量は4割減ったと言いま
すから、結構有効なプログラムと考えられます。(自分たちの税金に直結して
いれば、やはり真剣になるのでしょうね。)
また同市では、毎年11600トンのリサイクル資源が集められているとのこ
と。やはり、リサイクルは皆んなの役目なのです。

ノースショア年間のリサイクル資源の量
 ◯ペーパー類 :9000トン
 ◯ガラス類  :2000トン
 ◯プラスチック: 300トン
 ◯スチール缶 : 200トン
 ◯アルミ缶  : 100トン


●リサイクルボックスの活用

ノースショア市では1週間に1回、それぞれエリアごとに、リサイクル資源の
回収車が巡回してきます。「グリーンビン(Green Bin)」と呼ばれるリサイ
クル専用の大型のプラスチック製のボックスが、市役所から無料でどの家庭に
も配付されており、どこの家でも1週間にたまったものをこのボックスに入れ
て、決められたゴミの日に、自分の家の前に出しておくと、専用トラックが巡
回してきて、1軒1軒そのグリーンビンに入ったリサイクル資源を回収してく
れるというシステムになっているのです。

このグリーンビンに入れて、リサイクル資源とみなされるものには以下のもの
があります。そして、それ以外が「一般の廃棄物」となり、家庭でゴミとして
出す場合には有料(1袋1ドル)になるわけです。


[グリーンビンに入れても良いもの]
1)プラスチック
  容器の底についているリサイクルの三角マークの数字が1か2のもの。
  なお容器についているフタも三角マークの数字が1か2であればリサイク
  ルに出せますが、必ず容器と別々にして出すこと。具体的な製品としては、
  台所等で使用した洗剤や家庭用クレンザー類、シャンプー、リンスなどの
  容器、牛乳やジュースの容器、アイスクリームの容器などが挙げられます。

2)スチール缶
  通常の食用缶、ペットフードの空き缶、スプレー、アルミ製のお皿。

3)ガラス
  透明なガラスの容器、また色つきでも、緑と茶色のものならオーケイ。

4)ペーパー類
  新聞紙、ちらし、それにダンボールなど。きれいにたたんでひもで縛るか、
  スーパーのプラスチックバッグに入れるか、どちらかの方法で出す。
  なおグリーンビンの中には入れないで、ボックスのわきに置いておくと、
  ペーパー専用の別の巡回車が1軒1軒、取りに来てくれます。

これは最低限のマナーとして、リサイクルに出す容器はすべて、一度水できれ
いに中を洗ってから出すことになっています。


ニュージーランドでは、どの通りにも名前がついていますが、特にノースショ
ア市では、こうしたリサイクルのマナーの良い住民が多く住んでいる道には、
特別に「Neat Street(清潔な通り)」という名前がつけられ、ネームプレー
トが付けられます。
これがついていると、その通りに建っている不動産の価値も上がるとか。
こうしたことで、また住民のリサイクル運動に対する意欲がかき立てられるわ
けです。

さて、リサイクルに出せないものは「一般のゴミ」「廃棄物」になるわけです
が、やはりそこはニュージーランド。ノースショア市でも、いろいろな工夫や
アドバイスがありました。

次回は「リサイクルに出せないゴミはどうなるのか?」それをレポートします。



  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  1999.10.01


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