生活してみてわかるニュージーランドの意外な面
- 金融サービス編 -



 
●ニュージーランドの金融サービス

ニュージーランドは羊の数が人間より多くて、自然が豊かでのんびりとした農
業国のイメージが強いのですが、日常の市民レベルでこの国を観察しますとけ
っこう意外に感じる面もあります。今回はその一例をご紹介しましょう。

農業国のイメージからすると意外に思われるものとして、まず金融サービスが
あげられます。エレクトロニックバンキングは日本より遥かに進んでいて、テ
レホンバンキングはひと昔も前からこの国では当たり前になっています。
またインターネット上で24時間オープンしているバーチャルバンクもすでに
数年前に登場していて、今では市民の間でもかなり浸透してきています。
普通の銀行のように支店をあちこちに持たなくてもいいので、コストがその分
軽減され、結果として預金金利も他の銀行より高めに設定できているようです。
ちなみにこの銀行は、バンクダイレクトと言いますが、預金金利は普通預金で
あっても4%はあります。

そしてニュージーランド人の生活に欠かせないのが、エフトポス(EFTPOS =
Electronic Funds Transfer at Point of Sales)」。
これはやっと日本でも最近、デビットカードの名称で導入され始めた、金融機
関のカードで買い物ができるシステムですが、ニュージーランドではこれが進
んでおり、普及率は現在世界一になっています。知っていましたか?

さて、もう1つ金融サービスで日本より優れていると思うのがスピードの面。
たとえば皆さんがニュージーランド国内の銀行で口座を開設するとしましょう。
10分か20分ぐらいの手続きの後、普通預金などの口座が開設されますと、そ
の場でバンクカードがもらえます。
そして午前中に口座を開けばその日のうちに、午後なら遅くとも翌日の正午ま
でにはニュージーランド国内のどのATMの利用はもちろん、スーパーやコンビ
ニ、レストラン、病院、ガソリンスタンドなど日常生活に不可欠ないたるとこ
ろでキャッシュレスで買い物ができてしまいます。
もちろんATMはニュージーランドのどんなに小さな田舎町に行っても、24時
間年中無休でオープンしていますし、またわざわざATMを探さなくても、ス
ーパーなどで買い物するついでに気軽にレジでも現金が引き出せますので、日
本よりずっと効率よく生活ができます。

ニュージーランド統計局の調べでは、1997年12月31日時点でニュージーラ
ンドに1094の銀行の支店があり、これは「3400人に1つの支店」を意
味しますが、金融機関もこの国の政府同様、現在思い切ったリエンジニアリン
グを行っており、銀行の支店の数は減少傾向にあります。

ちなみにニュージーランドで過疎化が進んでいるパーマストンという小さな村
でも数年前から各銀行の支店が次々と閉鎖され、この村で今でも営業している
唯一の銀行となったW銀行も、とうとう2月の末で支店を閉鎖することになり
ました。来月から自分達の村に銀行が1つもなくなってしまうことについて住
民はどう考えているか、さっそくその日の夕方のニュースで取り上げられ、レ
ポーターが住民にインタビューをしている模様がテレビで映し出されていまし
たが、銀行の支店がなくなることで直面する問題は、「銀行で働いていた人が
職を失うため、新たな仕事を求めて、また村から人が出ていってしまうこと」
であって、「銀行の窓口がなくなると日常生活に支障をきたす」という声は、
だれからも聞かれなかったことが誠に印象的でした。

インタビューはその後、閉鎖を決めたW銀行側に向けられましたが、「ニュー
ジーランドではここ2、3年の間にさらにエレクトロニックバンキングが発
達したので、採算の合わない支店をオープンしている時代はもう終わった。」
というのが閉鎖の理由でした。 

実際にテレホンバンキングなど、自分の口座に関することは電話一本ですべて
用が足せますし、ATMが近くになくても、エフトポスを利用すれば現金はいつ
でも引き出せるので、わざわざ銀行の窓口まで出向かなければならないことは、
確かにニュージーランドにはそうありません。

「いざとなったらネット上にも銀行があるのだから...。」閉鎖が決まったパー
マストンに住む60代の女性から出たそうしたコメントが、現在のニュージー
ランドの金融サービスの実体を物語っていると言えます。



  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  1999.07.01


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