王者奪回



 
 ●スーパー12 決勝

 昨年の覇者オーストラリアのブランビーズを相手に31対13というスコアで快
 勝。クルセイダーズが全勝で優勝を決める。ニュージーランドラグビーファ
 ンの誰もが描いていたシナリオ通りに2002年度スーパー12は終了した。

 5月25日、決勝戦。この日の観客数37000人。観戦チケットは、発売後30分で
 SOLD OUTだったそうで、そんなことニュージーランドではめったにないこと。
 ダフ屋が試合会場のジェイド・スタジアム周辺に現れたりするほど。(日本
 じゃ普通でもNZでは大変珍しい光景)
 
 地元クライストチャーチでは、セミファイナルあたりから街中がチームカラ
 ーの黒と赤に染まった。黒と赤の風船が売れる売れる(笑)。この時期にク
 ライストチャーチを訪れた観光客は、さぞ驚いたことだろう。クルセイダー
 ズのチームジャージーは、これも飛ぶように売れているらしい。
 
 いつになく異様な興奮ムードの中、試合はさすがに決勝戦に進むだけのチー
 ムだけあって、簡単にトライは取らせて貰えない。そして、後半残り10分の
 時点で14対13と1点差まで追いつかれた矢先に、マーテンズのドロップゴー
 ルで引き離し、流れをこちら(クルセイダーズ)に向けておいて、完璧なコ
 ンビネーションでラルフがトライ。そして、だめ押し。インターセプトでの
 再びラルフの70m独走トライで勝負あり。

 今季のクルセイダーズは、とにかく欠点の少ない素晴らしいチームだった。
 おめでとう!そして、強いNZラグビーをみせてくれてありがとう!!
 試合後のインタビューで、敗者ブランビーズのキャプテンであるグレガンが
 来季の王者奪回を誓っていた。精一杯やった人の「爽やかな笑顔」が、なぜ
 かとても印象に残った。


 ●ジェフ・ウイルソンが突然の引退

 クルセイダーズのスーパー12全勝優勝で湧くニュージーランド・ラグビーだ
 が、ファンにとっては残念なニュースもあった。
 セミファイナルでクルセイダーズに敗れたハイランダーズの、そしてオール
 ブラックスのジェフ・ウイルソンが試合後、引退を表明した。

 ウイルソンは1993年(20歳の時)にオールブラックスに選ばれて以来、
 これまで60キャップ(国際試合数)を持ち、トライ数44のNZ記録保持者でも
 ある。また彼はなんと19歳の時にクリケットのNZ代表チームにも選ばれてい
 る才能豊かなニュージーランドを代表するスポーツマンでもある。
 彼には他の選手にはない華があった。これは持って産まれたものだろう。
 大きくダイブしてトライする姿に多くのオールブラックスを夢見る子供達が
 歓喜する。「かっこいい!」自分の未来の姿を思い描かせるヒーローなので
 ある。
 経験を積み、安定感をも感じさせてくれた今季の彼のプレーをみると、せめ
 て来年のラグビーワールドカップまで続けて欲しかったのだが…。数少ない
 天才プレーヤーとしてその名を残すことは間違いないだろう。

 「体力の限界」「集中力が保てない」等の理由がスポーツ選手の引退にはつ
 きものと思っていたが、彼の場合は違う。
 「再びクリケットのNZ代表チーム入りを目指す」というのである。
 「もちろん国の代表としてファーストグレードでプレーできるかどうか保証
 されるものなんて無い。分からない。今わかっているのは、それを目指しベ
 ストを尽くす、ということだけだ。」と語った。
 
 “ゴールディー”と呼ばれ、恵まれた素質、環境を兼ね備えたニュージーラ
 ンド・ラグビー界の宝でもあった彼が今度はクリケット界に全力で挑戦する。
 実現するよう、心から応援したい。


 ●2002年度のオールブラックス

 先日、今季のオールブラックス・メンバーが発表されたが、選ばれた26名の
 内、15名がクルセイダーズから選出となり、負傷のオリバーに替わり、キャ
 プテンにはルーベン・ソーン(クルセイダーズのキャプテン)が決まった。
 今季のスーパー12での戦い振りからすると誰もが納得するところだろう。
 個人的には前回の選考に漏れたFBクリスチャン・カレンの復活に期待したい。

 また同時にニュージーランド・マオリのメンバーも発表されたが、こちらの
 メンバーも何かワクワクさせる選手の名がずらっと並んでいる。スペンサー、
 ギア、パーキンソン、レイハナ、ランドル、ヘイマン等個性派揃いのこのチ
 ームも期待できる。(オールブラックスとまず対戦させて欲しいくらい)

 今週末、いよいよオールブラックスが始動する。
 テストマッチ(国代表チームの試合)最初の試合は、6月8日にハミルトンで
 行われるイタリア戦だ。昨シーズン、オークランド・ブルースのアシスタン
 トコーチを務めた名ウインガー、ジョン・カーワンが今季よりヘッドコーチ
 になって俄然注目のチームとなったイタリア。
 週末が待ち遠しい!


  ※KIAORA MAILニュージーランド掲載
  2002.06.01


キオラ・ニュージーランド キオラメール バックナンバー記事 お問い合わせ
   
ITZ Corporation Limited お問い合わせ