| 自転車で旅しよう! |
自転車で旅をすることの良さってなんだろう? それは自転車で旅をする人ならば一度は考えたことがあることだろう。雨が降 れば寒いし濡れるし、速度は遅いし、坂道は大変だし…、何もわざわざこんな ことをしなくてもいいはずだと自分でも時々思う。 でも、そういう苦労が普段は気付かないことを気付かせてくれる。 例えば、苦労して登りつめた峠で素晴らしい景色を見ながらゆっくり休憩する。 多くの車は気付かずに通りすぎるか、数分だけ止まって写真を撮ってすぐに去 ってしまう。車が止まるのは地図とか観光ガイドに載っているいわゆる「お勧 めポイント」がほとんどだ。そのようなところ以外にもたくさん良いところは あるのに勿体無いことだ。大変だった分だけ、目的地に着いたときの喜びも大 きい。何の変哲もない、町の入り口にある町の名前が書かれた看板。長距離走 った後にこの看板と撮る写真は何とも嬉しいものだ。 私も苦労などするのは好きではないのだけれど、“自転車での旅はその苦労に 見合った、或いはそれ以上のものを得られるもの”だと思う。 私は大学で自転車で旅をするサークルに入っていて、長期の休みには日本のい ろいろな場所に走りに行った。基本的に泊まるのは全てキャンプ場なのでテン トや寝袋、コンロなどそういう装備を全て装備していた。サークル以外でも北 海道を一人で一ヶ月くらい走ったこともあった。 私がニュージーランドを自転車で旅をしようと決めたのは大学卒業のときだ。 それまで日本を出たことがなかったので、漠然と海外にしようと考えていた。 そこでサークルの友人二人と「最後くらいはどこか外国を走りに行こう」とい う話になった。候補地は、治安が結構良くてキャンプ場の設備が良いという話 を聞いていたニュージーランドに簡単に決まった。みんな特にどこに行きたい という希望も無く、ただ外国に行って走ってみたいというだけだったのだと思 う。 地図やキャンプ場の位置の情報など、日本で集めるのは少し大変だったけれど 新宿にあるニュージーランド政府観光局にあった資料などを使わせてもらい、 なんとか計画も立てることができた。日程は二週間で、Christchurchから Invercargillまで自転車で走ってInvercargillでレンタカーを借りてChrist- churchまで帰るということになった。コースと泊まる場所を決め、ニュージー ランドに着いた日と帰る日だけの宿を旅行会社で予約し、自転車は日本から輪 行袋に入れて持っていくことにした。飛行機で無料で運んでくれるのは30kgま ででそれ以上は有料になってしまうが、自転車以外の荷物がよほど多くなけれ ば大丈夫だった。 結局、このときのニュージーランド旅行は大成功に終わり、それだけでなく私 をニュージーランド大好き人間にしてしまった。 日本よりも国土が小さいのに自然がものすごく大きく感じられた。 キャンプ場の設備は聞いていた通り清潔で素晴らしいものだったし、ニュージ ーランドの多くの人々は親切だった。道で地図を広げているだけで近寄ってき て道を一緒に探してくれたりする人までいた。やはりこういったことが体験で きたのも自転車のお陰だったと思う。ツアーでは団体で動くから現地の人から 話しかけてくるということはまずないだろうし、自分の気に入ったところでゆ っくりすることもできないからだ。 キャンプ場を使ったのも正解だった。キャンプ場ではニュージーランド人だけ でなくいろいろな国の人がいて、同じキャンパー同士ということもあって気軽 に話せた。また、親子でキャンプ場に来てゆっくりしている人もかなりいた。 自転車で同じように旅をしている人もたくさん見かけた。日本では自転車に乗 っている人同士がすれ違うときには手を上げて挨拶をすることが多いのだけれ どニュージーランドでも同じようにみんな挨拶していた。こうやってちょっと 挨拶をするのも楽しいことの一つだった。 日本に帰ってきて就職したものの、ニュージーランドが忘れられなかった。 彼らの生活を見ていると人生の過ごしかたに余裕があって楽しんでいる人が多 く感じられ、それに比べて日本はなんと忙しくてストレスの溜まるところなん だろうと思った。結局、考え出すと止まらなくなり、会社を辞めて一年間ニュ ージーランドに行ってきた。 今回も三週間ほど自転車での旅をした。この一年で、ニュージーランドが必ず しもどこでも安全というわけではないこと、当たり前だけれど親切な人ばかり ではなく中には日本人の足元を見たりアジア人を嫌いな人もいること、などな ど他にもいろいろと経験できた。そういうことを含めても、やはり私はニュー ジーランドが大好きだ。 今はまた日本で働いているけれど、そのうちニュージーランドに移住したいと 思っている。多分、自転車をやっていなかったらニュージーランドには行って いなかっただろう。自転車は私の人生を変えてしまったのかもしれない。 いつかニュージーランドで、もっと人間らしい余裕のある生活ができるように なることを夢見て…。 fuzuki(投稿) |
| ※KIAORA MAILニュージーランド掲載 |
| 2000.03.16 |
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